病気というのは、見方を変えるとちょっと変わって見えるものです。
もし、あなたの病気に役割があるとしたら、それはどんな役割でしょう?
本章でお伝えすることは、前章の自律神経失調症・うつ病の初期対策を始めた後に、 あなたにじっくりと考えていただきたいことです。
病気は、あなたに何かを知らせるために訪れます。
それがあなたの病気の役割です。
自律神経失調症やうつ病の場合、それは無頓着だった自分の体に目を向けることだったり、あるいはあなたに価値観の変更を迫っているのかもしれません。
病気というものは……
あなたの必要な時に、
あなたの必要なだけ、
必要なタイミングで訪れるようになっています。
こう考えると、自律神経失調症やうつ病もちょっと違った見方ができると思います。
同じことが起きても、考え方一つ、受け取り方一つで、そのことがストレスになったりならなかったりします。 あなたの病気は、あなたの成長のために現れたとすると、あなたには、どんな成長が求められているのでしょうか。 答えは人それぞれ違うと思います。 本章は、少しでもその答えのヒントになればと思い、掲載いたしました。
あなたは「人は得意な方向に転ぶ」ということを知っていますか?
他人の世話を焼くのが得意な人は、他人の世話の焼きすぎでトラブルになったり……。
努力が得意な人は、努力をしすぎてまわりが見えなくなりトラブルになったり……。
行動力のある人は、ガムシャラに行動して失敗を続けることが多かったり……。
思慮深い人は、考えすぎて次の行動が出なくなる時が多かったり……。
人からいろいろと話を聞いたり本を読んで勉強したりしても、ついつい自分の耳に心地いいものだけを聞きたがってしまいます。
本を読むにしても、
「あっ、私って私らしくしていていいんだ~。
この本はいいこと書いてある~。こんな本に出合えてうれしい~」
とつい自分のやり方を肯定してくれるような本を読みたがります。
確かにこんな時もあり、これはこれで心が癒される時があります。
でも、これが行きすぎると、実は心がバランスをくずすことになるのです。
努力や闘うことが得意な人の本棚には、努力や闘うことをすすめる本しかありません。
友人もそんな人ばかりです。
「明日やれることは明日やればいいんじゃない」「逃げることも大切だ」なんて書いてある本は、この人の本棚にはありません。
そんな方は休むことを知らず、闘って努力ばかりしていて、心も体も悲鳴を上げています。
そんな時にも「ここが踏ん張りどころだ!」とまた努力してしまいます。
それだけ努力できるのは大変立派なのですが、これではいつか大きな病気になってしまいます。
たいていは自律神経失調症やうつ病になってしまいます。
それとは逆に、嫌なこと先延ばしにする癖のある人の本棚には、「嫌ならやらなくてもいいじゃない」「あなたはあなたらしくていいんだから、無理する必要はないわ」というような本があります。
確かにそんな時もありますが、このとおりに避けてばかりいると、目の前の問題をい つも見て見ないふりをしていることになります。
こんなことを続けていれば、あなたはいつまでもストレスに抵抗する力がつきません。
いずれ大きなストレスがきた時に、そのストレスに抵抗する力がないため、自律神経失調症やうつ病になってしまいます。
もちろん自分らしさは必要です。
しかし、自分の耳に心地いい、得意な方面のことばかりをしていると、不思議とそっちにコロンと転んでしまいます。
前向きな人は前に転びます。
後ろには転びません。
後ろ向きの人は後ろに転びます。
前に転ぶことはありません。
努力好きな人は、休むことを学ぶ。
休んでばかりいる人は、動くことを学ぶ。
動いてばかりいる人は、考えることを学ぶ。
考えてばかりいる人は、行動することを学ぶ。
他人の世話ばかりしている人は、たまには他人の世話になってみる。
これらを自分のペースで行うのが「自分らしさ」の生き方ともいえます。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とはよくいったものです。
最近はやりの「自分らしさ」という言葉に逃げないようにしましょう。
きっとあなたは自分でも気づいていると思います。
同じ行動をしていたら同じ結果しか出ないということを。
別の結果を得たいならば、別の行動をしなければならないのです。
それは、サボることかもしれませんし、逃げることかもしれません。
または、逃げてばかりいないで闘うことかもしれませんし、ずっといえなかったことをいうことなのかもしれません。
あとは勇気を出してその行動をするだけです。