第4章 自律神経失調症・うつ病の対策 ストレス別
化学的ストレスへの対策

症状の重い方はトウガラシも断つ

 自律神経失調症やうつ病の症状が、軽い方から重い方まで、カフェインは長期間摂らないことをおすすめしますが、重度の方にはそれに加えてトウガラシも摂らないことをおすすめします。

 

 トウガラシもカフェイン同様、体に偽りの元気を出してしまう可能性が高い食品です。
1997年にサンフランシスコ大学の研究グループが、人体の中にトウガラシの受容体を発見しました。
彼らのいろいろな発表から、次のようなことが推測されます。

 

 人間は炎などの高熱のものに近づくと、体内にカプサイシン(トウガラシ成分)に似た物質を出します。
その物質を感じた神経が痛みを感じることで、それが危険であることを知らせています。
つまり、トウガラシは脳に「生命の危機」を知らせる物質であると考えられます。
生命の危機はとても大きなストレスですから、トウガラシを摂取すると危険が迫っていると体は勘違いをしてしまいます。

 

 実際にトウガラシが体に入ると、ノルアドレナリンが分泌されます。
そのため動く神経が働き、血糖値の上昇や心拍数の上昇が起こります。
つまり、体がストレスを感じる時と同じような反応をしてしまうのです。
そのため、過剰に働いている動く神経をさらに過剰に働かせようとすることになります。
すると自律神経失調症やうつ病は、さらにひどくなる場合があります。

 

 しかし、トウガラシには薬用の効果も期待できるのです。
実はトウガラシには痛みを和らげる効果があります。
トウガラシを摂取すると、ノルアドレナリンだけでなく、エンドルフィンも分泌されるからです。

 

 エンドルフィンは、モルヒネといわれる痛み止めの薬の約6倍の効果があるといわれています。
またエンドルフィンは、幸せを感じるホルモンといわれています。
「私って幸せ!」と思う時や「気持ちいいな~」と思える時に働いているホルモンです。
そのため、トウガラシが含まれる食品を摂ると「スカッ」と感じる方もいるかと思います。
これがトウガラシの薬用効果です。

 症状が軽めの方なら、このトウガラシの効果で症状がよくなる方もいます。
そのため、カフェインのように症状があるすべての人に摂取を控えるようには強くいえないものでもあります。
しかし、症状が長期間に及んでいたり、最近症状が悪化していたりする方は、食べるのを控えたほうが無難だと思います。
ちなみにトウガラシが含まれている食品はキムチや七味やタバスコなどです。