うつ病・自律神経失調症 治る人 治らない人
第2章 自律神経失調症・うつ病の特有な症状

低血糖症(極度のだるさ・疲労感)

 あなたは血糖値という言葉ぐらいは聞いたことがあると思います。
それは血糖値が高くなると糖尿病になるから気をつけましょう」ということだと思います。
しかし、血糖値は高くなることも怖いのですが、実は低くなるのも怖いことなのです。
特に自律神経失調症やうつ病の方の多くは、低血糖症になっている可能性があります。

 

 低血糖症とは、血糖値が下がり元気がなくなってしまい、うつ病や自律神経失調症と同じような症状が出ている状態のことをいいます。
うつ病と病院で診断された方が、実は低血糖症だったという報告も少なくありません。
驚くことに、低血糖症になる原因は甘いものを食べることなのです。
特に空腹時に砂糖などの入った甘いものを頻繁に食べると、低血糖症を起こしやすくなるのです。

 

 なぜ甘いものを食べると、血糖値が下がるのでしょうか。
普通に考えると、甘いものを食べると血糖値が上がるはずですよね。
実は、人間の体は血糖値が下がるとお腹がすくようになっています。
しかし、お腹がすいている時に砂糖のような甘いものを食べると、急激に血糖値が上がることになります。

 

 私たちの体は血糖値が上がると、インシュリンというホルモンを出します。
インシュリンは、血糖値を下げるホルモンですが、それがたくさん出ると血糖値を下げすぎてしまうのです。
お腹がすいた時に甘いものを食べ、急激に血糖値が上がると、インシュリンが通常よりたくさん出てしまいます。
すると、たくさん出すぎたインシュリンが必要以上に血糖値を下げてしまうのです。

 

 必要以上に血糖値が下がると、

 

  • 強い疲労感
  • 極度のだるさ
  • めまい
  • 頭痛
  • 集中できない
  • 心臓がドキドキする
  • 不安を感じる
  • イライラする

 

 などの症状が出ます。

 

 食事などの場合は、徐々に血糖値が上がるのでインシュリンも適量に分泌されます。
しかし甘いものだと、急激に血糖値が上がるのでインシュリンが出すぎてしまうのです。
いったんは血糖値が上がるので、満腹感や満足感を得て元気になったような気がするのですが、しばらくすると出すぎたインシュリンによって、甘いものを食べる前よりも血糖値が下がってしまうのです。
すると元気がなくなり、また甘いものが食べたくなります。
また甘いものを食べると、急激に血糖値が上がるということを繰り返してしまいます。

 

 つまり甘いものを食べると、血糖値の上がり下がりが急激に変化することになります。
実はこれだけでも体は疲れてしまうのです。

 

 体というものは、常に一定に保つように働いています。
例えば、異常気象などで気温が寒くなったり暑くなったりを繰り返すと体が疲れますよね。
これは自律神経が体温を一定に保とうと思い、暑い時には体を冷やそうとし、寒い時には体を温めようとするため、自律神経が働きすぎているのです。
この体内での正反対の動きを急激に行うことは体を異常に疲れさせます。

 

 夏に8℃以上の暑い外と、辺で前後の涼しすぎるエアコンのきいた部屋を出たり入ったりしていると疲れますよね。
この環境(体外)の変化と同じように、空腹時に甘いものを食べると血糖値が激しく下がり、体内の環境に急激な変化が起こるのです。

 

 また、疲れがひどい状態にもかかわらず、甘いものを食べると血糖値が上がるので、元気が出てきたような気がしてしまいます。
そのため、本当は休まなければならないほど疲れているのに、仕事などをさらにがんばってしまいます。
これがまたあなたの心や体に追い討ちをかけてしまうのです。

 

 つまり、本当は疲れている状態なのに、甘いもので「まやかしの元気」を出してがんばってしまうので、その後で異常なほどの疲労を感じることになります。
もちろん、先ほどお伝えしたようにうつ病や自律神経失調症と同じような症状も出てきます。

 

 また、急激に血糖値が低下すると、体からアドレナリンというホルモンが放出されます。
アドレナリンは、血糖値を上げる作用があるホルモンですが、動く神経を働かせるホルモンでもあります。
自律神経失調症の方は、もともと動く神経が過剰に働くことにより症状が出ていますので、さらなるアドレナリンが出ることは症状を悪化させてしまうのです。

 

 動く神経の働きは、戦うか(攻撃的)、逃げるか(不安)」に適した状態にすることです。
そのため、異常に攻撃的になりキレるという状態になったり、異常に不安を感じる不安症になる可能性もあります。
対策は第4章をご覧ください。