うつ病・自律神経失調症 治る人 治らない人
第2章 自律神経失調症・うつ病の特有な症状

消化不良・過食・胸やけ・ゲップ・食欲不振

 自律神経は内臓の動きも管理しています。
そのため自律神経が乱れると、過食や食欲不振という症状が出る場合があります。
食欲不振には、食欲がなくなるという以外に、消化不良や胸やけ、またはゲップが多くなる、お腹の張った感じ(膨満感)がする、といった症状も出てくることがあります。

 

 自律神経が乱れて動く神経が過剰に働くと、休む神経が働けなくなります。
すると休む神経が動かしている内臓は、動けなくなってしまうのです。
実は、休む神経は内臓を動かす神経でもあります。
脳や筋肉などを動かすのは動く神経なのですが、内臓を動かすのは休む神経なのです。

 

 胃は、食べものが入ってくると胃液を出しながら、煽動運動(ぜんどううんどう)という動きをします。
嬉動運動とは、胃が芋虫みたいに動き、食べものをこねて、かき回していると思ってください。
しかし、休む神経が動かないと胃液の分泌も悪くなり、さらに胃の蠕動運動も少なくなるため、消化不良を起こしてしまうのです。

 

 また、動く神経が働きすぎると体が緊張します。
緊張すると体が縮こまってしまうように、胃も縮こまってしまいます。
すると胃の中の食べものが胸に上がってきてしまうのです。
また、胃酸が逆流するため食道が胃酸で焼けてしまう可能性もあります。

 

 このような症状の方で多いのが、「時間になったから食べる」という行為を行っている方。
これはよくありません。
このような症状の場合、お腹がすくまで食べないというのが鉄則です。
2~3食ぐらい食べなくても人間は死にません。
休む神経が動かないと胃は消化不良を起こし、いつまでも胃に食べものが残ることになります。
すると胃は休めません。
たまには2食や3食ぐらい抜いて、胃を休ませてください。

 

 飲みものは飲んでもかまいませんが、冷たい飲みものは避けてください。
冷たい飲みものが胃に入ると、胃はますます縮こまってしまうからです。
温かい飲みものなどをゆっくり飲むようにしてください。

 

 自律神経失調症やうつ病の症状で、イライラするとたくさん食べたくなる「過食」というものがあります。
過食の場合はまだたくさん食べられる分だけ症状的には軽い方が多いです。
しかし、なかには内臓が丈夫なあまり、自律神経が相当乱れているにもかかわらず、過食ができてしまう方もいます。
通常、自律神経が乱れると動く神経が過剰に働き、胃の機能が落ちて食欲がなくなります。

 

 先ほどもお伝えしたとおり、胃は休む神経が動くことによって働きます。
しかし過食は、まだそこまでいかない状態、つまり自律神経が乱れ始めの時で、胃は正常に近いかたちで働いているのです。
そのため、自律神経が乱れ、動く神経が過剰に働き出すと、体はそれにストップをかけようとします。
そのため、無性に食べたくなるのです。

 

 なぜ、動く神経が過剰に働きすぎると食べたくなるのかというと、食べると休む神経が働くからです。
休む神経は、胃を動かす働きがあります。
つまり胃が動かなければならない時は、休む神経のスイッチが入るのですね。
そのため胃にものが入ってくると、自動的に休む神経が働き始めるのです。
あなたもご飯を食べた後に、リラックスすることが多いと思いますが、それは休む神経が働いているからです。
ストレスが多いと、動く神経が過剰に働くため、それを抑えるために食べたくなるのですね。
これがストレス食い(過食)」を行ってしまう原理です。

 

 過食は、ストレスで過剰に働く動く神経を抑えるための症状なので必要なものなのです。
しかし、動く神経の過剰な働きが続くと、過食だけでは動く神経を抑えられないぐらい、過剰に働いてしまいます。
すると休む神経が働けなくなり、胃が動けなくなってしまうのです。
あなたは「あれだけさんざん食べていたのに、全然食べられなくなった」ということはありませんか? それは休む神経の働きが弱くなってしまったからなのです。