更新日:2021.07.01
執 筆:整体師 高木裕司
皆さんは、仕事や勉強などをしている時に集中力が続かず、仕事や勉強がはかどらなくて困った経験はありませんか?
特に頭が疲れたというわけでもないのに、スマホでSNSを見たり、メールなどを開いたりすることはありませんか?
私は頻繁にあります。自分でもあまりの集中力のなさに呆れるばかりです(笑)。
しかし、これはあなたが怠惰なわけではありません。脳のある場所とそこに関わるホルモンがそうさせているのです。
それでは何があなたの集中力を決めているのでしょうか?
人間の脳には報酬系というシステムがあり、その強力なシステムにより私たちは行動を起こしたり継続したりすることが出来るのです。
報酬系は脳のいくつかの部分にありますが、通常は側坐核という豆粒ほどの小さな部位にゆだねられています。
この場所から報酬をもらうと私たちは心地よい気分になり、行動を継続できるようになります。
つまり私たちを動かしているのはこの側坐核なのです。
そしてこの報酬系を活発化させるために働くのがドーパミンという神経伝達物質です。
おいしいものを食べたり、人と交流したり、運動や性行為などをするとドーパミンがたくさん分泌され、ポジティブな気分になり、その行動を繰り返したくなる。脳がまた同じことをしろと催促するのです。
では、なぜこのような行動が側坐核を活発化させて、行動を継続させるのでしょうか?
それは、人間が進化の過程で、その行動を継続すると生存の可能性があがることに対して、側坐核が反応するようになったというのが有力な説です。
現代科学では報酬系の働きに遺伝的に個人差があることがわかっています。
極端に気が散りやすい人は報酬系が通常と異なる状態にあり、同じ量のドーパミンが分泌されたとしても報酬系が同じように働かず、もっと多くのドーパミンが分泌されるような刺激の強いことを探し続けるのです。これが気が散るというやつです。
ADHDという病気がありますが、ADHDはこの状態が酷くなって日常生活に支障をきたすレベルであると診断されたものです。
しかし、私たちのほとんどが程度の差こそあれADHDの要素を持っているのです。
それでは集中力を高める方法はないのでしょうか?
あります!驚くほど簡単な方法が…
「運動すること」です。しかも一番有効なのはランニング。
我々の先祖は長い間、狩猟によって生き抜いてきました。
イノシシやシカを追いかけて仕留めることで生きながらえてきたのです。
イノシシを追いかけているときに集中力が切れてしまうと生存していけないので、獲物を追いかけている時は側坐核が反応してドーパミンが分泌されるようになったのです。
ランナーズハイというのはこの理屈からおこります。苦しいはずなのに気持ちいいのです。
阿部寛主演の、落ちこぼれ高校生を東大に合格させるというドラマが人気です。
その中で、運動をしながら勉強させるシーンがありますが、実は脳科学的に理にかなっているのです。
毎朝、少しランニングしてから仕事や勉強をすると、効率が上がるかもしれませんね。